1. 転職エージェント
  2. 転職エージェント「不満」「苦情」大全集
  3. 転職エージェントのアドバイザーが年下で、生意気だから10分で帰ったった

Episode 1

プロフィール  20代・30代の働き盛りのビジネスマン約500人に、帰宅時間と残業時間・残業代の実態について、アンケート調査しました。既婚者・独身者での比較や20代・30代での比較を実施!今の自分の働き方と照らし合わせてみよう!働きすぎは、自分だけじゃないかも?
仕事内容 アルバイト系求人広告の営業
新規顧客2割、既存顧客8割
営業エリア:渋谷
取引先の業種:飲食店、IT関連会社
転職しようと思ったきっかけ  この年齢での転職は勇気がいるが、今年に入ってありったけの体力をかき集めて、始めて人材紹介会社に行ってきた。それなりの覚悟は出来ていた。
転職活動を始めたきっかけは、昇給やキャリアアップの基準が不明確で、将来的に自分の望みを叶えられないのではないか、そう感じていた。
失敗から学んだコト
  • ・礼儀が出来ていないアドバイザーは、担当を変更すべき。
  • ・服装や態度は、その人の性格が表れる。
  • ・自分より年下の場合、圧倒的に知識が薄い。
  • ・自分より会社のことを知らなければ相談しない方が良い。
  • ・転職アドバイザーの経歴を確認し、人材業界に5年以上携わっていなければ担当変更を依頼する。
  • ・同じ業界出身者であれば、率先してお願いする。

    初回面談時のエピソード

     これは、俺が転職エージェントのアドバイザーに落胆したときの話である。

     クライアントの事務所は高田馬場にある雑居ビル。18時からの商談が長引き、気づくとすでに19時を回っていた。20時からの面談予定が入っていたが、相当疲れていたのか、駅前のドトールでアイスコーヒーを飲んでいた。

     面談の場所は、新宿から徒歩5分程度で到着する人材紹介会社。口コミサイトを見て登録した小さな会社だ。


     人材紹介会社に登録して転職するのは、これが初めてではない。今の会社は、23歳の時に転職して入った会社だ。転職エージェントを使ったことはあったが、面接日程の調整、求人企業とのやりとりを代行してもらった程度の印象しかなく、今回も求人を紹介してもらう、くらいしか期待していなかった。

     今の会社は、昇給やキャリアップの基準が不明確で、周りを見渡しても昇格できるような職場環境ではない。しかし、何がしたい、こうしたいがない、いわゆる「目的がない」転職である。

     真面目な性格のためか、コーヒーを飲み終えるとすぐに店を出て、「適当」な転職理由を考えながら足は駅へと急いでいた。


     新宿駅に到着し、見渡すとすでに帰路を急ぐサラリーマンで道はごった返していた。

     面談会場に到着したのは、19時50分。エレベーターを降りオフィスの受付に入ると、両側には大きな観葉植物があり、無駄に透明なガラスの柱がある。腰掛は黒光りした革で、壁は白で統一されている。いわゆる、オシャレな受付だ。


    「(サービスを受ける側なのに。なんで余計なところで、まじめがでるんだろう)」


     自分の余計な真面目さに嫌気をさしたが、受付の電話を手にした。


    「本日、20時から面談を予約している○○と申します。アドバイザーの江藤さんはお願いできますか。」


    受付「はい、○○様。お待ちしておりました。4番の部屋までご案内します。掛けてお待ちください。」


    時間は19時57分。


     時計を見て腰を掛けた俺は、仕事の資料を見直すために適当にカバンの中を漁った。

     一番手前の資料が目に留まり、手に取る。手に取ったのは、「動画で圧倒的な臨場感を、欲しい人材を惹き寄せる次世代の求人情報」という資料だった。

     内容としては、YouTubeを使って職場環境や働く人の雰囲気を表現するというもの。ターゲットとしては、これから夏の繁忙期を迎える飲食店だが、動画を作成するのに料金が高く、とても飲食店が出せる料金ではなかった。

     さらに月額料金まで取るのだから、営業としては全く売る気が起きないし、顧客も耳を傾けるはずがない。顧客向けのサービスとはかけ離れている。

     良いことに俺はサービスに興味が無い。飲食店にどんな良い人がバイトとして入ろうが、俺の知ったことではない。ノルマがあるわけではないが、クライアント先へ応募状況を報告するだけとなっていてマンネリ化していたこともあって、話題づくりに持参した資料だ。


     ふと、周りを見渡すとクリアファイルを片手に男性が3人、椅子に座っていた。よく見ると、顔写真のようなものが貼ってある。履歴書だ。クリアファイルは厚さもあり、求人票のようなものもファイリングしているようにも思える。初回の面談ではなさそうだ。しっかりとネクタイを締め、ただならぬ空気を醸し出している。


     8ページ目までざっと目を通してサービス概要を改めて確認していたが、全く頭に入ってこない。資料を読んで、明日の提案時に活かそうと考えていたのだが、理解しようとせず、ただただ活字を読んでいただけなのだ。


    「(なんでだ?)」


     周りの人間と対照的に何も目的がない自分との間に差があり、来る途中に考えていた「適当な転職理由」でさえもまとまらず、内心焦っていたのだ。目的意識を持った男性と比べ、ただ「なんとなく」転職しようと考えている自分に嫌気が差した。


    「はぁ・・・いつもこうだ」


     そう、小さな声でつぶやくとさらに自分が嫌になる。実際で行われる企業の面接ではなく、ましてや、初回面談である。こちらの希望条件などを聞く程度ものだと分かっていたが、転職理由が全くない状態。こういった時に限って、真面目を発揮しない自分にさらに嫌気が差す。さらに、30歳にもなり自分の転職理由も考えられないのか、と他人に思われることにも恥ずかしさを感じていた。


     時計を見ると、20時10分を過ぎていた。とても内容が濃いとは言えない資料であったが、資料を読み込もうとすると自分と、即席の転職理由を考えるようとする自分がそこにはいた。

     待たされることには慣れている。日常の仕事ではごく当たり前のことで、飲食店を相手にするとなおさらだ。電話対応、仕入れ作業、片付け、仕込み、売上清算など時間帯によっては店長が捕まらない場合もある。

     今回のアドバイザーは人気者で様々な人を相手にしているのか、もしくは電話対応が長引いているのか。求人票を印刷するのに時間がかかっているのか、それとも突然上司から仕事を依頼されたか、様々な考えが頭の中を駆け巡った。


     時計は、20時15分の針を指す。さすがに待たされすぎだと感じた俺は、受付にもう一度、アドバイザーを呼んでもらおうと思った。その時だ、前方から駆け足で歩み寄ってくる細身の男性がいる。ストライプで細身のオシャレスーツに黒縁メガネ。ネクタイはカジュアル寄りのニットタイプで時計の文字盤は大きい。髪の毛は黒だったが、やけに毛先が跳ねパーマをかけているように感じる。表参道や代官山のカフェにいそうな雰囲気。iPhoneやMacをよく使い、Apple製品をこよなく愛するガジェット系男子とも思える風貌だった。


     俺がもっとも嫌いなタイプだ。


    「(くじ運悪いのは、いつものことか)」


    アドバイザー「遅くなりました~すみません~電話が長引いちゃって~。こちらご案内しま~す。」


     やはり、的中した。初対面とは思えない、この軽い言葉遣い。やたら、語尾を延ばしてくる。


    アドバイザー「あっ!申し遅れました~、わたくし、江藤と申します。ではこちらへ。」


     4番の会議室は、受付の左の通路を歩き、すぐそこにあった。木目調の扉で綺麗にドアノブが光っている。面談ルームは6畳ほどでテーブルと2席の椅子があり、やや広めのつくりになっていて、テーブルにはチェーンで繋がれたiPadが一台おいてあった。


    アドバイザー「いやいや、ホント申し訳ないです~。今担当している方から2回も電話で捕まっちゃって。いま、忙しいんですよ~ボーナスもらった後は、転職する人増えるんですよね~。私も仕事が落ち着いたら、転職しようかなって思ってますよ!ははは~」


    「(なんだ、コイツ。アイスブレイクでもしているつもりか。下手すぎだろ。しかも、転職する気、満々かよ)」
    「そうなんですね。私もそのうちの一人ということですね。申し訳ないです。」


    アドバイザー「いや、僕を頼ってきてくれたので、精一杯、ご支援させていただきます!では、お掛けください。」


     受付の方が、すでに運んでくれたお茶だろうか。10分くらい前に出されたせいか、氷が解けて小さくなっていた。

     上から目線は仕事柄なれているが、どうも今日の俺は許せなかった。お茶に入った氷が、自分の心を表しているかのように、この人に転職を任せる気持ちは、とてつもなく小さくなっていた。


     俺はくじ運が悪い方だ。つい先週も、アポイントの時間を間違え遅刻し、クライアントにこっぴどく怒られたのだ。しかし、会社に帰ってメールを確認すると、どう見ても時間通りに訪問していた。

     さらに、この業界にいると、借金取りのような業務も付いて回る。求人広告を掲載しても、その掲載料金を払わないため、支払いに応じるようクライアント先へ訪問するケースだ。

     先月、3人の先輩が辞めたせいで、「予備軍」のようなクライアントを7社受け持った。すでに、今月は2社支払いが出来そうに無いと連絡が来ている。これは俺がもっとも嫌いとしている仕事のうちの一つだ。


    アドバイザー「今回、転職エージェントのご利用は、初めてですか?初めての方にはサービスの概要を説明するのが会社の“ルール”でして」


     すでに、コイツへの信頼はゼロに近しかった。時間が無駄だったので、一瞬、断ろうかと頭の中で思ったのだが、とりあえず求人を紹介してもらうまでは我慢することに決めた。


    「サービス自体は知っているのですが、転職エージェントのメリットが、いまいち、ピンときていなくて。おそらく、使ったことがないないからだと思いますが・・・」


     転職アドバイザーを前にして、転職エージェントのメリットが分からないと言っていること自体が失礼に当たるが、今の俺には判断が付かなくなっていた。聞いたところで、そのメリットすら理解できない状況にはある。


    アドバイザー「転職エージェントのメリットねぇ~。二人三脚で転職サポートする人です。」


     俺の頭が疑問だらけになったのは言うまでもない。質問に対する答えになっていないからだ。しかし、もはや、コイツの言葉は一ミリたりとも心に響かないし、耳にも入らない。


    「二人三脚か。そうなると余計に相性って大事ですよね。ちなみに、転職する人は、アドバイザーとの相性とかもあったりしますか?」


     「ちなみに」という言葉は、とても便利な枕詞だ。面倒な事柄を、この一言でリセットしてしまう。


    アドバイザー「ありますよ~。私も実はやりづらい人いるんですよ~。自分の考えを押し通そうとする頑固な人が特にやりづらいんです。求人紹介しても自分が受けたい企業しか受けないんです。せっかく、こっちが求人を紹介してあげてるっていうのに。こういう人は大体、一次面接で落とされるんですよ。あっ!むこうもやりずらいって思ってたりして~はははっ!」


    「そんなことないですよ~先ほど二人に電話で捕まったって仰っていたじゃないですか。江藤さんを必要としていることじゃないんですか?」


     真面目で面白くない返ししか、出来ない自分に腹が立つ。自分を押し殺してまでこんな奴を優先とする精神が、日々の仕事で培ったモノだと思うと余計に腹が立つ。


    アドバイザー「そういえば、どうして今回転職を希望されたのですか?30歳、ご結婚されていてお子様はいらっしゃらない・・・将来を見据えて、収入が低いことが転職理由の一つでしょうか?」


     なんの脈略も無く話が急にシフトする。話が下手で流れが作れず、急に話題を変えるダメな営業の典型的な例だ。「そういえば」の言葉の使い方に、多少の疑問はあったが、それ以上にこの営業を人前に「一人で」出す会社そのものが疑わしくなった。転職エージェントのサービスは無料とはいえ、ここまでサービスの質の低下を許容して良いものなのだろうか。


    「・・・。そ、そうですね。」


     しかし、どうもコイツの上から目線は許せない。一体どういった社会教育を受ければ、こういった口調・言葉遣いになるのだ。ましてや、転職エージェントは対面サービスなのにだ。同じ対面サービスに携わる営業として、俺には到底理解できない。


    「ちなみに、江藤さんっておいくつですか?」


     「ちなみに」という言葉をこの数分で2回も使用した。話がかみ合っていない証拠である。総合的に判断して、コイツは俺より年下だと悟った。仮にこれ以降もコイツと付き合ったとしても、アドバイザーとしての経験が浅く、業界、職種、企業、求人内容の理解が不足しているがために、俯瞰的なアドバイスが出来ない。コイツには見込みが無いと判断したのだ。明らかにマッチング精度の低い求人を紹介してくるのが目に見えている。


    アドバイザー「28歳です。この業界は、すでに3年経験しているので、安心してください。もしかして、私、何か失礼なことでもしましたか?」


     もう我慢の限界だった。考えるより、先に身体が動いていた。何も言わずに椅子を後ろに動かし、足元にあったカバンを持ち、ゆっくりと立ち上がった。


    「キミには、私の人生を任せることは出来ないし、転職相談することすら出来ません。」


    アドバイザー「待ってください!!!」


     しっかりと敬語を使ったこと、さらに「お前」ではなく「キミ」という言葉をチョイスしたことを、賞賛している俺がいることを知り、とても惨めになった。どうしてこんな年下を相手に転職相談しなければいけないのか。そう思うと居ても立っても居られなくなった。

     こいつは、自分の席に戻り、俺のキャリアや志向性を否定するだろう。「あいつはダメな奴だ」そう、同僚に自分の考えや価値観を押し付けることだろう。呼び止めようとする声がしたが、全く耳に入らない。


    「この後予定があるので、改めて連絡します。」


     そう2つも嘘を重ね、エレベーターではなく階段を使い、足早に駅に向かった。時計の針は、20時25分を指していた。



     この出来事の3日後、あるメールが届いていた。宛先は江藤から。件名には、こう書いてあった。



    「あなたにおススメの求人!今が転職のチャンス。あなたの転職を徹底サポート!」



     そして、俺はメールの内容を読まずに、件名をこう書き、返信メールを作った。


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    【お礼】Re:あなたにおススメの独占求人!今が転職のチャンス。この機会に転職エージェント利用を!
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    昨日は、お時間頂き、ありがとうございました。
    江藤さんとお話することで、自分の足りないモノを見つけられた気がします。
    今のままでは、到底、他の会社では力が及ばないと感じました。

    自分自身、営業としては未熟だったことを思い知り、改めて今の会社で挑戦します。
    お互い、成長したときにお会いしましょう。
    ぜひ、そのときは、転職相談させてください!
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     最後に、俺は余計な真面目さを発揮した。

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